江口寿史現象に超現実的な宗方仁コーチ!?

公開日:2008年07月12日 | 最終更新日:2008年07月12日
カテゴリー:新しい考え方 | タグ: , | 印刷する 印刷する
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UchidaUchida Supportちょっと落ち着いて内容が濃い文庫本が読みたくて、手に取ったのが内田樹著「子どもは判ってくれない」(文春文庫:2006年6月)Uchida Support 2です。

内田樹氏[1]の本は、出版された年月に関係なく、かなり多く書籍を読了していますが、毎回新しい発見があって楽しみにしています。ブログのために本を読んでいるわけではないのですが、なぜか気になる内容が記述されている・・・なんでかな!?

本書に関しては、まだ読了したわけではないのですが、前半部分でテニスに関する記述が書いてある!といっても、テニスの本質に迫るような内容ではありませんが、やっぱりこうした自分の教養向上!?のために読んでいる本にテニスが出現すると嬉しくなります。

早速ご紹介すると・・・

伝統的に漫画は「超時代的」なものでなくてはならない。つまり、漫画の中には、「ある時代に固有のもの」、言い換えれば、「その時代が過ぎてしまうと消えてしまい、別の時代の読者に含意が通じないもの」は描き込んではならない、という不文律が存在したのである。(p.39)

個人的に、漫画をあまり読んだことが無い私ですが、内田樹氏は、上記のように漫画というものを一種の文化として評価していて、いろいろと分析をされている・・・漫画ばかりを読む人達をちょっとした「非文化人」と考えていた私には衝撃だったのですが、上記のような不文律を明確に説明されているのは内田氏が初めてのようにも思うのですが。

さて、テニスに関する記述は、この後に続きます。(下記内容は、テニスの部分に限定して引用しており、本ブログの主催者の改定が多少ありますので、詳細かつ正確な記述は文庫本をお読み下さいますようお願い致します)

山本鈴美香(やまもとすみか)の「エースを狙え!」は、「現代」を舞台にしているが、そこには「同時代的な意匠」は一切登場しない。「エースを狙え!」の宗方コーチ着用の「蜘蛛の巣柄の浴衣」は「超現実的」という以外に形容のしようがない。だから不思議な話だが、あれから三十年経っても、これらの「超現実的」現代漫画は、以前として「どこか異次元的な現代日本」の物語として読むことができるのである。(p.39 を抜粋、ブログ用に改定)

内田氏が、「エースを狙え!」を読んでいるということがまずは驚きだったのですが、それにも増して、宗方コーチの「蜘蛛の巣柄の浴衣」って・・・よくそんなことを記憶されているな、と二重の驚きです。漫画を読んでいる時の視点が既に通常ではないわけですから、そうした記憶があるのは当たり前のなのかもしれませんが、そうした背景を「超現実的」と評するところは流石に内田樹氏です。

実は、上記のような漫画に関しての評価は、内田氏が独自の視点で、同年齢集団を対象にした「現実的」な江口寿史氏の漫画との比較として記述しています。また、内田氏は、「江口寿史(えぐちひさし)現象」と称して、もっぱら「同年齢集団」を参照したり、「同年齢集団」との競争をするけど、他の上下の年齢集団を視野に入れない傾向をそう呼んでいます。

内田氏の主張を拡大解釈すると、私にとっては以下のような考えがふっと頭を過るのです。

現代における日本の「若者」は、「江口寿史現象」が強く表れているため「同年齢集団(自分の年齢に対してせいぜいプラスマイナス 5 歳程度位まで)」という限界があり、教養や知識の向上といったことに対して多くを期待できない。「超現実的」なところまで視野にいれ、「同年齢集団」を超えて嫉妬したり、安堵を感じたりするようになって初めて、現状打破ができるのである、と言っているようです。

こうして指摘されると、テニスにおける世界も、「同年齢集団」を超えて嫉妬したり、安堵したりする気構えが必要な気になってきます。たとえば、「今のテニスプレーヤ」が往年の名選手、マルチナ・ナブラチワやジョン・マッケンローのサーブ・アンド・ボレーに嫉妬したり、ビヨン・ボルグの超安定したストロークに嫉妬したりすることが必要で、逆に、以前にはまったく考えることができなかった時速 200km に攻めるビックサーブが打ていることに対して安堵したりするような気構えが必要なんでしょう。

たかが漫画・・・されど漫画!上記のような飛躍的な考えを引き出してくれるのが内田樹氏の素晴らしいところだと感じてはいるのですが、周囲から「単なる超空想の世界」だよ、と指摘されることもあるようでして・・・

注 [1]
内田樹(ウチダタツル)
1950 年東京生まれ。東京大学文学部仏文科卒。東京都立大学大学院博士課程中退。現在神戸女学院大学文学部教授。専門はフランス現代思想、映画論、武道論。フランス現代思想と武道に精通した独自の視点が注目を集める(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

これまでに読了した内田樹氏の書籍

ちょっと自己満足の世界ですが、内田樹氏は、フランス文学の他に武道に関しても専門です。テニスに限定するわけではありませんが、教育論や武道論に関しての書籍もあり、まったくテニスと無縁というわけではありません。本投稿記事で、ちょっとでも内田樹氏に興味があるようでしたら、以下の書籍をお勧めします。ほとんどが文庫本や新書ですので、投資としては少なくて良いと思いますが・・・

上記の 3 冊は、比較的簡単な内容ですし、本ブログと関連するような内容も含まれていますので、読み易いと思いますが。特に「14歳の子を持つ親たちへ」は、どこが 14 歳の子を持つ親が対象なのか不明で、子供を持つ親であれば「な~るほど!」と思われる方も多いのでは。著者の一人である名越康文氏も、最近ではテレビ番組でもちょくちょく出演していますから、親近感があるのでは・・・

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